「麻酔の注射が一番怖い」 診療をしていると、本当によく聞く言葉です。手術や処置そのものより、その前の局所麻酔の一本が一番緊張する、という方は少なくありません。でも実は、局所麻酔の痛みは「打ち方」次第で大きく変えられます。今日は、私が診療で実践している3つの工夫についてお話しします。
実は、麻酔の痛みは「打ち方」で変わる
局所麻酔がなぜ痛いのか。突き詰めると、理由は大きく3つに分けられます。 1. 針の太さ 2. 注入スピード 3. 注入する深さ この3つを意識するだけで、痛みの感じ方は大きく変わります。一つずつご説明します。
その1: 針の太さ
針が細ければ細いほど、皮膚を通る際の痛みは減ります。 参考までに、予防接種で使われる針は27G(ゲージ)です。当院では、皮膚の厚い部分には30G、顔には34Gの針を使い分けています。数字が大きくなるほど針は細くなり、痛み方も全然違ってきます。


その2:注入スピード
麻酔液を一気に注入すると、組織が急激に押し広げられて痛みが強くなります。ゆっくり、時間をかけて注入することで、その痛みを大きく減らすことができます。 余談ですが、私自身は握力が弱く(17kg程度です)、そもそも勢いよく打つことができません。でもそれが、結果的にゆっくりとした注入につながっている、という側面もあります。
その3:適切な深さ
麻酔は、注入する「深さ」でも痛みが変わります。 浅すぎると痛みを感じやすく、逆に脂肪層まで入れてしまうと、必要な麻酔量が増えてしまいます。適切な深さに注入することで、効きも早く、痛みも少なくなります。

麻酔の打ち方は、医師によって違います
これは意外と知られていないのですが、麻酔の打ち方は医師によって本当に違います。 私自身、痛いのが苦手な性格です。だからこそ、痛くない麻酔にはこだわってきました。「え?もう麻酔終わったん?」と驚かれることも、しばしばあります。 特にお子さんの処置では、痛い・怖いという経験がトラウマになってしまうことがあります。ですから、ケガの処置の際にも、ゼリー状の表面麻酔薬を塗って20分ほど待ってから処置を行うようにしています。この一手間だけで、多くのお子さんが怖い処置も頑張ってくれます。
痛くない麻酔には、コストがかかります
正直にお伝えすると、痛くない麻酔をするには、お金も時間も余計にかかります。 細い針は通常のものより倍以上の値段がしますし、ゆっくり麻酔を行う分、時間もかかります。 それでも私は、患者さんにとって少しでも手術や処置の負担が軽くなることを、第一優先に考えています。 痛みが不安で手術を迷っていらっしゃる方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度ご相談ください。
